ふるさと納税の限度額と倒産防止掛金の損金算入の活用

土地と建物も多く所有している大家さんからの相談でした。

父は90歳近い、母も85歳。

息子からの相談でした。

息子本人の所有しているうちの一つの賃貸物件(建物のみ)を新会社で買取り、5年が過ぎておりました。

確定申告書を見るかぎりでは、最も収益率が高い物件を会社が買い取り、会社は息子本人とその妻が役員で給料も本人と妻に支払っていました。

息子本人は他にも所有物件があり、賃貸収入や地代収入もあるようでした。

その中で、更なる節税対策はあるかどうかのご質問でした。

限られた情報ですが、意外と対策する余地があったのです。

確定申告からわかる節税のポイントは下記の通りです。

  1. 青色申告特別控除
  2. 小規模企業共済
  3. 青色事業専従者給与の支給
  4. 各種所得税額控除
  5. 賃料収入に比べ固定資産税や修繕費の金額の割合
  6. ふるさと納税の活用

以上が代表的な内容なります。

ご相談された息子さんは、上記の①~⑤は行っておりました。

ただ一つ⑥だけがなかったのです。

不動産管理会社(建物所有)をもつその社長(上記でいう息子さん)は、給料は会社からもらっているので給与収入があります。

給与所得控除額という給与収入独自の控除額を給与収入から控除したものが給与所得になります。

また、もうひとつの収入である不動産収入、その収入から経費や青色申告控除額を控除し、

不動産所得の金額を計算します。

上記の給与所得と不動産所得の合計額から扶養控除や医療費控除などの各種所得控除を差し引き、税金がかかる前の金額(専門用語では課税所得金額)を計算します。

 この金額に税率を乗じて税金を計算するのです。

 下記が平成27年以後の所得税額速算表です。所得税の速算表

相談者の税率をかける前の金額が1,000万円でした。

計算してみると、1,000万円×33%-153.6万円=176.4万円

速算表をみると900万円を超え、1,800万円以下までは33%と、695万円を超え900万円以下までの税率と10%も違います。

もし、課税所得金額が100万円減少すれば900万円となりますので、

900万円×23%-63.6万円=143.4万円

22%までの税率の範囲内になります。

ポイントは、ふるさと納税です。

ふるさと納税を限度額まで使いましょう。

とお話いたしました。

 

ふるさと納税だけでは100万円の金額を減少させるには限界があります。

そのため、会社から役員報酬が支払われていますが、会社が加入できる倒産防止共済という制度があります。

これは、毎月20万円を限度として積み立てていく全額経費となる掛け金なのです。

簡単に言えば取引先が倒産したことによりお金が回収できなくなった際に、掛け金の10倍を限度に貸し付けますよ!という制度です。しかし、その一方、毎月20万円が限度ではありますが、支払った金額は全額経費となり、一定期間が経過した後、解約しても全額戻ってくる制度なのです。ただし、積立限度額は800万円です。20万円を毎月積み立てても4年と4か月は積み立てが可能、そして全額経費算入できるということです。

大家さんには一見関係ない制度のように感じますが、毎月20万円経費になる、将来解約する際には全額が戻ってくるというなら、戻ってくるときには大規模修繕に充てるのもよし、建替えの資金に充てるのもよし、将来のプランを考えて解約時を予定して解約年に出来るだけ経費として使う。という対策も必要なのです。これは出口対策と言います。

人生も出口戦略が必要なように、会社や不動産にも出口対策が必要です。それらを考えた上で、不動産管理会社もこの倒産防止掛金制度を大いに活用することは有効かと考えます。

個人の確定申告だけでなく、会社から支払われる給与や経費にできるもの、など、多面的に対策を考えたらいかがでしょうとのお話を致しました。

最後に、ふるさと納税は自己負担2,000円と言われますが、上記のような税率の違いから、負担0円、プラスにだってなる場合もあることを忘れずに。

 

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

PAGE TOP