修繕積立金は経費になるの?

Q: マンション(一部屋)を購入しました。いわゆる区分マンションの購入です。区分マンションの所有者になったものの、管理組合に支払う修繕積立金が毎月支払っています。これは、その管理規定にあるため支払うものなのですが、不動産所得の計算上、必要経費に算入できるのでしょうか?

A: 区分マンションで、管理組合に対して支払う修繕積立金は、一定の要件を満たすときは、必要経費に算入することができます。一定の要件は下記に記載していますが、自分で修繕積立金として積み立てるものについては、当然、一定の要件(下記の①から④)には該当しませんので、必要経費に算入することはできません。自分で積み立てる修繕積立金が必要経費にはならないからと言って、積み立てないのは将来の修繕費が不足する事態になりかねません。しっかりと、修繕計画を行い、積み立てるようにしてください。また、修繕積立金の代わりに個人ではできませんが、法人でしたら経営セーフティ共済(いわゆる倒産防止掛金)や生命保険を用いて経費算入し、将来の修繕費に手立てする方法もあります。

国税庁のホームぺージには、下記のように記載しております。

原則として、実際に修繕等が行われその修繕等が完了した日の属する年分の必要経費になりますが、一定の要件を満たす場合には、支払期日の属する年分の必要経費に算入して差し支えありません。
修繕積立金は、マンションの共用部分について行う将来の大規模修繕等の費用の額に充てられるために長期間にわたって計画的に積み立てられるものであり、実際に修繕等が行われていない限りにおいては、具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していないことから、原則的には、管理組合への支払期日の属する年分の必要経費には算入されず(所得税基本通達37-2)、実際に修繕等が行われ、その費用の額に充てられた部分の金額について、その修繕等が完了した日の属する年分の必要経費に算入されることになります。
しかしながら、修繕積立金は区分所有者となった時点で、管理組合へ義務的に納付しなければならないものであるとともに、管理規約において、納入した修繕積立金は、管理組合が解散しない限り区分所有者へ返還しないこととしているのが一般的です(マンション標準管理規約(単棟型)(国土交通省)第60条第6項)。
そこで、修繕積立金の支払がマンション標準管理規約に沿った適正な管理規約に従い、次の事実関係の下で行われている場合には、その修繕積立金について、その支払期日の属する年分の必要経費に算入しても差し支えないものと考えられます。
① 区分所有者となった者は、管理組合に対して修繕積立金の支払義務を負うことになること
② 管理組合は、支払を受けた修繕積立金について、区分所有者への返還義務を有しないこと
③ 修繕積立金は、将来の修繕等のためにのみ使用され、他へ流用されるものでないこと
④ 修繕積立金の額は、長期修繕計画に基づき各区分所有者の共有持分に応じて、合理的な方法に  より算出されていること
したがって、毎月支払う修繕積立金については、原則として実際に修繕等が行われ、その修繕等が完了した日の属する年分の必要経費になりますが、上記の①から④のすべての要件を満たす場合には、支払期日の属する年分の必要経費に算入して差し支えありません。

所得税法
第三十七条 (必要経費)

その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額(事業所得の金額及び雑所得の金額のうち山林の伐採又は譲渡に係るもの並びに雑所得の金額のうち第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係るものを除く。)の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。
2 山林につきその年分の事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その山林の植林費、取得に要した費用、管理費、伐採費その他その山林の育成又は譲渡に要した費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。

所得税基本通達37-2 (必要経費に算入すべき費用の債務確定の判定)

法第37条の規定によりその年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき償却費以外の費用で、その年において債務が確定しているものとは、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる要件の全てに該当するものとする。(昭55直所3-19、直法6-8、昭57直所3-1、平23課個2-33、課法9-9、課審4-46改正)
(1) その年12月31日(年の中途において死亡し又は出国をした場合には、その死亡又は出国の時。以下この項において同じ。)までに当該費用に係る債務が成立していること。
(2) その年12月31日までに当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。
(3) その年12月31日までにその金額を合理的に算出することができるものであること。

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