修繕費と資本的支出 フロチャートの使い方 パート3

Q: 資本的支出とは何ですか?

A: 資本的支出とは、まず税法の条文から読み解いていきましょう。
資本的支出と修繕費の区分を判断するにあたって、建設工事の詳細を把握しないまでも、内容等を多少わかっていないと適切な判断が出来ません。

29種類の建設業関連の事業を全てではありませんが、中身をある程度理解しておかないと、正しい判断、妥当な判断、説明できる状態までにならないかと考えます。

建設工事の中身は、今後少しずつ登場してくる予定でおります。

今回は、税法上の「資本的支出」の意義から見てみましょう。
下記にその条文を記載しました。

法人税法は施行令132条、所得税法は施行令181条になります。
さて、条文を読んでも専門用語満載なため、よくわからないと思いますので少しずつ読み解いてまいります。
法人税は内国法人、所得税では居住者としています。これは、会社そして個人ということです。

ここでは会社と個人をあわせて会社と表現させてください。

会社は修理、改良その他いずれの名義をもつてするかを問わず、持っている固定資産について支出する金額で下記に該当するものは損金(個人でいうと必要経費と言いますが、ここでは損金と表現します)の額に算入しないとしています。

下記に掲げるものとは、
「当該支出する金額のうち、その支出により、当該資産の取得の時において当該資産につき通常の管理又は修理をするものとした場合に予測される当該資産の使用可能期間を延長させる部分に対応する金額」とされています。これは、修理等することで、使用可能期間を延長させる効果がある場合に、その効果に対応する、表現を変えるとその効果に見合う部分の金額を指しています。
続いて、
「当該支出する金額のうち、その支出により、当該資産の取得の時において当該資産につき通常の管理又は修理をするものとした場合に予測されるその支出の時における当該資産の価額を増加させる部分に対応する金額」とされています。これは、修理等することで、価額を増加させる効果がある場合に、その効果に対応する、表現を変えるとその効果に見合う部分の金額を指しています。

そもそも、普通の生活をしている私たちが、「資本的支出」とか使用することはまずありません。そのことからしても、税法独自の表現になります。
建物や自家用車の修理をした場合、資本的支出をしました。などと表現するでしょうか?
聞いたことはないと思います。修繕費はよく聞く言葉ですね。
生活しているときには出てこない言葉が、税法には出てきます。それが、とても重要な意味を持つことになるのです。
税金の計算の中では、どのような名目の支払いでも、実質的に考えるのです。
実質的にというのは、例えば、建物なら雨漏り修理、非常階段の交換、塗装改修工事、外壁塗装工事等、自家用車で言えば、車検代、修繕代、板金代、エンジン交換代等がかかったとすると、どれも、修繕費や消耗品費、改良費など会計処理をするときに様々な科目で処理がされます。

ここで、どの科目を使用したかは問題にせず、「使用可能期間が延長させる効果」があったのか、「価額を増加させる効果」があったのかを判断するのです。
そして、「使用可能期間が延長させる効果」あり、「価額を増加させる効果」あり、とされたものは、損金に算入できないとするものです。

ーーーーーー 以下は条文ですーーーーーーー

法人税法施行令 132条(資本的支出)
内国法人が、修理、改良その他いずれの名義をもつてするかを問わず、その有する固定資産について支出する金額で次に掲げる金額に該当するもの(そのいずれにも該当する場合には、いずれか多い金額)は、その内国法人のその支出する日の属する事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
一 当該支出する金額のうち、その支出により、当該資産の取得の時において当該資産につき通常の管理又は修理をするものとした場合に予測される当該資産の使用可能期間を延長させる部分に対応する金額
二 当該支出する金額のうち、その支出により、当該資産の取得の時において当該資産につき通常の管理又は修理をするものとした場合に予測されるその支出の時における当該資産の価額を増加させる部分に対応する金額

所得税法施行令 第181条(資本的支出)
不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務を行なう居住者が、修理、改良その他いずれの名義をもつてするかを問わず、その業務の用に供する固定資産について支出する金額で次に掲げる金額に該当するもの(そのいずれにも該当する場合には、いずれか多い金額)は、その者のその支出する日の属する年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入しない。
一 当該支出する金額のうち、その支出により、当該資産の取得の時において当該資産につき通常の管理又は修理をするものとした場合に予測される当該資産の使用可能期間を延長させる部分に対応する金額
二 当該支出する金額のうち、その支出により、当該資産の取得の時において当該資産につき通常の管理又は修理をするものとした場合に予測されるその支出の時における当該資産の価額を増加させる部分に対応する金額

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