修繕費と資本的支出 フロチャートの使い方 パート1

Q: 修繕費と資本的支出の区分のしかたを教えてください。                   いろいろな書籍に書いてあるフロチャートはわかりやすいので使っても構いませんか?  例えば60万円未満の修繕費もあるのですがどうでしょうか?                                          たしか、これは前にも何度が質問した内容ですが、再度教えてください。

A: 修繕費と資本的支出の区分については、順序良く考えていかないといけないものです。修繕費と資本的支出の区分については、続けていっしょに勉強していきましょう。

例えば、税法には形式基準といって60万円未満だったら全額修繕費としていいよ。という所得税基本通達37-13という通達があります。

しかし、要注意なのです。その通達は下記に記していますが、前提条件があります。それは、一の修理、改良等のために要した金額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額がありなのです。これって、本当に明らかでないと判断できますか?

私は、明らかになるものはあると考えます。資本的支出と修繕費が明らかに判断出来るとしたら、どうでしょう? 前提条件はまず崩れます。

そうすると、60万円未満だからと言って修繕費とした金額は、否認される可能性あり。全額を修繕費とした処理は間違いということになるのです。

これは本当なのです。

この問題は、誰もが悩む問題なのです。しかし、条文をしっかり読み解くことで回答が見えてくる部分はとても多いのです。

まずは、経費になる基本の条文をみてみましょう。                 所得税法第37条なのです。 その次に記載したものは所得税法基本通達37-13です。                法人税にも基本となる条文があります。それは、法人税第22条です。        ちなみに、所得税法基本通達37-13に該当する法人税法上の基本通達は7-8-1です。

所得税法
(必要経費)
第三十七条 その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額(事業所得の金額及び雑所得の金額のうち山林の伐採又は譲渡に係るもの並びに雑所得の金額のうち第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係るものを除く。)の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。
所得税基本通達
(形式基準による修繕費の判定)
37-13 一の修理、改良等のために要した金額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額があり、その金額が次のいずれかに該当する場合において、その修理、改良等のために要した金額を修繕費の額としてその業務に係る所得の金額を計算し、それに基づいて確定申告を行っているときは、これを認めるものとする。(昭57直所3-1追加、平元直所3-14、直法6-9、直資3-8、平19課個2-11、課資3-1、課法9-5、課審4-26改正)
(1) その金額が60万円に満たない場合
(2) その金額がその修理、改良等に係る固定資産の前年12月31日における取得価額のおおむね10%相当額以下である場合
法人税法                                   第二款 各事業年度の所得の金額の計算の通則
第二十二条 内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。
2 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。
3 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。
一 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額
二 前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額
三 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの
4 第二項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、別段の定めがあるものを除き、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。
5 第二項又は第三項に規定する資本等取引とは、法人の資本金等の額の増加又は減少を生ずる取引並びに法人が行う利益又は剰余金の分配(資産の流動化に関する法律第百十五条第一項(中間配当)に規定する金銭の分配を含む。)及び残余財産の分配又は引渡しをいう。

法人税法基本通達                              (資本的支出の例示)                              

7-8-4 一の修理、改良等のために要した費用の額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額がある場合において、その金額が次のいずれかに該当するときは、修繕費として損金経理をすることができるものとする。(昭55年直法2-8「二十六」により追加、平元年直法2-7「五」、平19年課法2-7「八」により改正)

(1) その金額が60万円に満たない場合

(2) その金額がその修理、改良等に係る固定資産の前期末における取得価額のおおむね10%相当額以下である場合

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